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芸能関係の確定申告~税務署も見てます~

投稿:2025.07.03  更新日:2025.05.29

こんにちは。税理士の阿部です。

テレビ・舞台・映画・SNSなど、多方面でご活躍されている芸能人の皆様。
表舞台での輝きとは裏腹に、3月が近づくと訪れる影…それが「確定申告」です。

芸能人はその活動の特殊性から、収入も経費も非常に多様で複雑です。
この記事では、芸能人の確定申告に関する基本と注意点を解説します。


■ 芸能人も、しっかり申告が必要です

まず大前提として、芸能人は個人事業主として所得税の確定申告義務があります。
売れ始めたばかりの新人から、国民的スターまで、収入が発生すれば申告が必要です。

「今年はセリフ1行しかなかったんで…」という方も、収入がある限り、税務署はしっかり見ています。


■ 所得の種類と収入の例

芸能人の所得は、通常「事業所得」または「雑所得」として分類されます。主に以下のような収入が該当します。

  • 出演料(テレビ、映画、舞台、CMなど)

  • 歌唱印税・著作権収入

  • イベント出演・講演料

  • 雑誌・書籍等の原稿料

  • SNS案件・YouTube広告収入

  • ファンクラブ運営収入 など

これらは、すべて申告対象です。
「人気が出すぎて振込が多すぎて分からなくなった…」という状況も現実にあります。


■ 経費になるもの、ならないもの

芸能人の経費はとにかく幅広く、事業との関連性がポイントになります。
以下はよくある経費の例です。

【経費になる可能性が高いもの】

  • 衣装代・メイク代・美容室代(仕事用に限定)

  • 稽古費用・レッスン料(演技・歌・ダンス等)

  • スタイリスト・マネージャーへの謝金

  • 撮影機材・編集ソフト(YouTubeや自撮り等含む)

  • 打合せ・ロケにかかる交通費や宿泊費

【注意が必要な支出】

  • プライベートと兼用の服や化粧品

  • 美容整形やエステなど「自己満足」の側面が強い支出

  • 高級車(タクシー代より高い移動費になっていないか)

  • 豪華な食事(ロケ弁はOKでも銀座ディナーは要説明)

「この服はテレビ用です!」と力説しても、番組で1秒も映っていない場合は苦しいです。
税務署は領収書と使用実績の整合性を見ています。


■ 帳簿と証拠書類は“芸能活動の裏側”

芸能人も他の個人事業主と同じく、収支の帳簿を整え、領収書を保存する義務があります。

よくある帳簿不備の例:

  • マネージャーに任せっきりで内容が不明

  • 現金収入が記録されていない

  • 経費がすべて「タレント活動費」とひとまとめ

これでは調査の際に苦労するだけでなく、税務署からの“ダメ出し”が入りやすくなります。


■ 青色申告の活用

一定の条件を満たせば、青色申告を行うことで最大65万円の控除を受けることが可能です。
青色申告のメリット:

  • 青色申告特別控除(最大65万円)

  • 赤字の繰越控除(最長3年)

  • 家族への給与の経費化(青色専従者給与)

適切に帳簿をつけ、毎年継続して申告を行うことで、税務的にも安心感が生まれます。


■ 注意点①:所得が多い=住民税・事業税も増える

売れっ子芸能人になると、所得税のほかに住民税・事業税・消費税(課税事業者の場合)が発生します。
翌年以降の納税に備えて、手元資金の管理も極めて重要です。

「ギャラで時計を買ったら、税金が払えなくなった…」というケースもよく聞かれます。
(時計は時を刻みますが、税金の支払い猶予までは刻んでくれません)


■ 注意点②:収入と支払調書のズレ

事務所を通さず個人で受けた仕事については、支払者側が「支払調書」を税務署に提出している場合があります。
こちらの内容と確定申告の金額にズレがあると、調査対象になる可能性もあるため注意が必要です。


■ まとめ

芸能人の確定申告は、収入の多様性と経費の判断が難しい反面、しっかりと準備をすれば大きな節税効果を得られる可能性もあります。

事業としての視点を持ち、帳簿と証拠資料を丁寧に整備することで、安心して活動を続けることができます。

当事務所では、芸能関係者・タレント・クリエイター・YouTuberの皆さまの確定申告や税務相談を多数取り扱っております。

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