税理士ブログ
その接待、経費で落ちますか?
こんにちは、新宿区の税理士阿部です。
「この飲み会、経費でいけます?」
「接待交際費って、いくらまで使ってOKなんですか?」
そんな疑問を抱きながら、領収書の裏に「〇〇社・接待」とだけ書いて安心していませんか?
今回は、そんな“接待交際費”の基本から、税務上の注意点・節税の工夫までご紹介します。
■ そもそも接待交際費とは?
接待交際費とは、取引先など事業に関連する相手との関係を円滑に保つための費用のこと。
具体的には、以下のような支出が該当します。
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取引先との飲食代、会合費用
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手土産や贈答品代
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ゴルフ・観劇・旅行などの接待イベント費用
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慶弔見舞金、葬儀用の供花代 など
これらは一見すると「会社の支出=経費でOK」と思いがちですが、法人税法上は“全額が損金算入できるわけではない”点に注意が必要です。
■ 税務上のルール:交際費は制限付きでしか損金にならない
法人が支出した接待交際費は、原則として損金不算入(=税務上の経費扱いにできない)です。
ただし、次のような“例外”が存在します。
【中小企業(資本金1億円以下)の場合】
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年間800万円までの交際費は全額損金算入が可能
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または、「接待飲食費の50%」を損金算入(どちらか有利な方を選択)
つまり、中小企業であればある程度までは交際費を“経費”として認めてもらえるのです。
大企業になると、損金算入の制限が厳しくなります。
■ 意外と多い?税務署がツッコみたくなる“NG接待費”
次のような支出は、接待交際費に見せかけた“プライベート経費”として否認されがちです。
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一人で高級寿司(「経営の勉強です!」も苦しい)
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キャバクラやクラブ(交際費にはなるが、本当に取引先いたの?と聞かれる)
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お歳暮として自宅に送った高級メロン
つまり、「この領収書、もし税務署の人が読んだらどう思うか?」という視点が大切です。
■ 節税ワザ:飲食費の“半額ルール”を賢く使え!
交際費の中でも、「飲食費(1人10,000円以下)」は扱いが別格です。
これは「社外の人との飲食費で、1人あたりの支出が10,000円以下なら、全額損金算入OK」という特例です。
ただし、次の要件を満たす必要があります:
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明確に「社外の者」との飲食であること(社内メンバーのみは対象外)
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誰と・どこで・何のために行ったか記録しておくこと
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領収書の保管は必須(メモ付きが望ましい)
このルール、非常に便利ですが“10,000円ジャストを狙いすぎる会食”はかえって怪しまれます。
■ 経費の記録が命!「記憶に頼るな、記録を残せ」
接待交際費は、「使った証拠」と「誰のために使ったかの根拠」が重要です。
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領収書には内容・人数・目的を記録
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日報や議事録と紐づけておく
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会議と会食をセットにして「取引の流れ」を明確に
■ 結局、「誰のために、何の目的で」がすべて
接待交際費が認められるか否かの最大のポイントは、「業務上の必要性があるかどうか」です。
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売上拡大のための関係構築か
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取引の維持・促進に寄与しているか
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実際に“社外の相手が存在した”か
「税務署がその場にいたら納得するか?」という基準で判断すると、正しく見えてきます。
■ まとめ|接待交際費は“使い方”と“見せ方”が9割
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中小企業は年800万円までの交際費が損金算入可能
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飲食費の10,000円ルールは正確に使えば節税効果大
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領収書は保存&メモを忘れずに
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プライベート要素の強い支出は除外する
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税務署に説明できる使い方と記録を意識する
「接待交際費=悪」ではありません、ビジネスに必要な信頼関係を築くための“投資”とも言えます。
だからこそ、正しく理解し、適切に使い、経費にしましょう。
当事務所では、接待交際費をはじめとする経費の見直しや、税務調査対応のご相談も承っております。