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理士ブログ

エステサロン経営者のための税金・会計入門

投稿:2025.11.04  更新日:2025.09.19

はじめに

こんにちは、新宿区西新宿の税理士法人阿部会計事務所の税理士阿部です。

エステサロンを経営するあなた。

お客様のお肌やボディを美しく仕上げるプロである一方、

ご自身の「税務や会計」は後回しになっていませんか?

この記事では、エステサロン経営に特有の税務・会計ポイントを4つに分けて解説します。

  • 顧客ターゲット戦略(経営方針)

  • 料金の前払い処理(収益計上)

  • 設備投資の考え方(減価償却)

  • 改装費用の取扱い(資本的支出 or 修繕費)

「キレイの裏には、地味な経理がある」——そんな現実も、プロの視点でわかりやすく解説していきます。


① エステサロン業の顧客ターゲットについて

〜“全員に売れる”は、誰にも売れない〜

会計と関係ないようで、実は大アリなのが顧客ターゲットの設定です。

例えば…

  • 【20代女性】⇒ ニキビケア・毛穴洗浄

  • 【30〜40代女性】⇒ 小顔・美白・ブライダル対策

  • 【50代以上女性】⇒ たるみ・リフトアップ・アンチエイジング

  • 【男性】⇒ ヒゲ脱毛・肌質改善・美容意識の高い層向け

このように年齢・性別・ライフイベントに応じたメニュー構成や価格帯を意識することで、

「売上の安定化」と「無駄な広告費削減」に直結します。

💡ターゲットを明確にすることで、必要な設備投資や施術単価の設定、売上計画がよりリアルになります。

これは後述する会計処理や設備投資にも大きく影響します。


② 料金一括前払いの会計処理について

〜“回数券”は現金だけど、すぐに売上にはしない〜

エステ業界では、「○回分をまとめて購入(チケット制)」や「月額定額制」など前払い制度が一般的です。

しかしこのお金、全額すぐに売上にはできません!

● 会計処理の原則:「未収益の繰延」

例:

  • 10回コース(1回1万円)を10万円で前払い

  • 現時点ではまだ2回しか施術していない

👉この時点での売上は2万円だけ
残りの8万円は「前受金」として処理し、施術ごとに売上に振り替えていきます。

💡なぜこうする?

  • 会計は“実態主義”

  • 「サービスを提供した分だけ売上とする」が基本

税務上も、役務提供が完了したタイミングで収益認識するのが原則です。

📌注意点:

  • 月末時点での「施術未済分」は繰延処理

  • 返金規定がある場合、その処理も要注意


③ 設備投資について

〜美顔器は経費?資産?税務署も気になってます〜

高性能な脱毛機、美顔器、ベッド、レジ、空調機器など、サロンには多くの設備投資が発生します。

ここでの会計処理が適切でないと、経費の過少計上 or 税務調査の対象になりかねません。

● 30万円未満:一括で経費OK(少額減価償却資産)

【法人・青色申告の個人事業主】であれば…

  • 取得価額が30万円未満の設備は

  • 年度内で**全額を経費処理(損金算入)**できます!

※合計300万円までの上限あり(中小企業者等)

● 30万円以上:固定資産にして減価償却

  • 原則:法定耐用年数に従って、毎年分割して経費にします

    • 美顔器:5年

    • マッサージベッド:8年

    • 空調機器:15年 など

💡注意点:

  • 購入時の送料や設置費用も「取得価額」に含める

  • 領収書は分けて保管を(混在すると判断しづらくなる)


④ 店舗改装費用について

〜“壁紙”が経費になるか資産になるかの壁〜

サロンの魅力は、内装や空間演出にかかっています。

ですが、店舗の改装費用には「資本的支出」と「修繕費」の区別が必要です。

● 修繕費(=経費)とは

  • 壊れた設備の修理

  • 古くなった壁紙・床材の張替え

  • 塗装の塗り直しなど

👉 機能の維持・原状回復が目的
👉 税務上、全額をその年の経費にできる

● 資本的支出(=資産)とは

  • 新たな機能を加える

  • 見た目のグレードアップ(美容目的)

  • 元より豪華になる変更

👉 減価償却資産として、数年にわたって費用化

🧾判断のカギ:

  • 金額が20万円以上なら“資本的支出”と判断されやすい

  • “明らかに豪華にした”なら資産処理が安全

📌領収書や請求書の内訳明細は細かく分けてもらいましょう!


おわりに

エステサロン経営は、お客様の満足と美しさを叶えるとても素敵なお仕事です。

だからこそ、その裏側の「数字の管理」や「税務処理」もプロとして整えておきたいところ。


✍️まとめ:サロン経営の税務・会計ポイント

テーマ ポイント 注意点
顧客ターゲット   売上戦略に影響    売上予測・原価率にも連動
前払い会計   前受金処理が必須    サービス提供ベースで収益認識
設備投資   30万円未満は一括OK    30万円以上は減価償却
改装費用   修繕費 or 資本的支出    内容の明細がカギ
  • サロン開業時の資金計画

  • 経費の正しい判断

  • 売上管理や税務署対応

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