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CIF価格とは?|関税や輸入原価の基本になる価格の考え方
輸入取引においてよく出てくる「CIF価格(シーアイエフかかく)」。これは、関税の計算や輸入原価の把握において非常に重要な概念です。特に、海外から商品を仕入れる企業にとっては、この価格の意味を正しく理解しておくことが、税務リスクやコスト管理の面で欠かせません。
この記事では、CIF価格の基本的な考え方について、わかりやすくご紹介します。
■ CIF価格とは?
CIF価格とは、「Cost(貨物代金)+Insurance(保険料)+Freight(運賃)」の頭文字をとったもので、輸入品が本船に積み込まれた港から輸入者の港までにかかる費用を含んだ価格を意味します。
日本で輸入通関を行う際、**関税や消費税の課税対象となる「課税価格」**は、原則としてこのCIF価格に基づいて算定されます。
■ CIF価格の構成要素
CIF価格には、以下の3つの費用が含まれます。
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商品代金(Cost)
輸出者(売主)に支払う商品の本体価格です。 -
運賃(Freight)
商品を輸入国まで運ぶための海上・航空輸送費。インボイスに明記されている場合もあれば、別途契約されるケースもあります。 -
保険料(Insurance)
輸送中の損害に備えるための保険。輸入時のリスクに応じて契約内容が異なることもあります。
これらを合計した金額がCIF価格であり、これを基準として関税が計算されるため、輸入原価の管理や税務申告の正確性に直結します。
■ FOB価格との違い
よく比較されるのが「FOB価格(Free On Board)」です。これは、本船に積み込むまでの費用のみを含む価格であり、運賃や保険料は含まれていません。
輸出側がFOB価格で契約し、輸入側が運送や保険を手配するケースでは、別途、運賃・保険料を加えてCIF価格を算定する必要があります。
■ CIF価格と関税計算
税関での輸入申告では、このCIF価格をもとに関税率をかけて関税額を計算します。また、関税を含めた金額に対して消費税が課されます。
【計算の流れ(例)】
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商品価格:1,000,000円
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運賃:100,000円
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保険料:10,000円
→ CIF価格:1,110,000円
→ 関税(例:5%):55,500円
→ 消費税(10%):116,050円(CIF価格+関税=1,165,500円の10%)
このように、CIF価格が高くなれば、関税・消費税の納付額も増えるため、価格の構成を事前にしっかり確認しておくことが大切です。
■ まとめ
CIF価格は、輸入取引において「税金計算の基準」となる非常に重要な価格です。輸入原価を正しく把握し、関税・消費税の納税を適正に行うためにも、どこまでの費用が含まれているのかを明確にしておくことが不可欠です。
当事務所では、輸入に関する税務処理や価格構成の確認、関税の申告サポートも承っております。
貿易取引や新規輸入を検討されている場合は、お気軽にご相談ください。