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ボカロPと税金の話

投稿:2025.05.29  更新日:2025.06.09

こんにちは、税理士の阿部です。

YouTubeやニコニコ動画、音楽配信サービスなどでオリジナル楽曲を発表し、多くのファンを獲得している「ボカロP(プロデューサー)」のみなさま。
「音楽は自由に創るもの」というポリシーで活動されている方も多いと思いますが、税務の世界はリズムやハーモニーより“記帳と申告”が基本です。

今回は、ボカロPとして活動されている方に向けて、税務上の基本事項と注意点をお伝えしていきます。


■ ボカロPの収入って、どう扱うの?

まず、ボカロPとして得られる主な収入の種類を整理してみましょう。

  • 楽曲の販売収入(CD、配信など)

  • YouTubeなどの広告収入(Google AdSense)

  • 楽曲のライセンス料や使用料(著作権使用料)

  • ライブやイベント出演料

  • グッズ販売収入

  • クラウドファンディングによる支援金

これらはすべて課税対象です。


■ 雑所得?事業所得?判定の分かれ道

個人の音楽活動による所得は、原則として「雑所得」または「事業所得」に分類されます。

【雑所得】

  • 副業や趣味に近い活動

  • 年間での収益が少額、または単発的な活動

【事業所得】

  • 専業でボカロPを行っている

  • 継続的な収益がある

  • 楽曲提供や受託制作を定期的に行っている

事業所得になると青色申告が可能で、最大65万円の控除や赤字の繰越などが可能になります。


■ 経費として認められるもの

事業としての活動であれば、必要経費も申告できます。ボカロPに関連する経費の例を見てみましょう:

  • ボカロソフトやDAW(作曲ソフト)購入費

  • プラグイン・音源の購入費

  • パソコンやオーディオインターフェース

  • 楽器、マイク、録音機材

  • イラストや動画編集など外注費

  • スタジオ利用料、交通費

  • 通信費(自宅Wi-Fiやアップロード関連)


■ クラウドファンディングと税金

近年増えているのが、アルバム制作やライブ開催のためのクラウドファンディング。
これも、支援金を受け取った時点で“収入”となり課税対象になります。

返礼品(CD、グッズなど)を用意した場合には、その原価や発送費用などを経費として処理できます。


■ 確定申告の基礎知識

ボカロPとして年間20万円以上の雑所得がある場合、原則として確定申告が必要です(給与所得と合算される場合など)。

特にYouTubeや海外プラットフォーム経由の収入は、日本国内で税務署に申告する義務があります。

「ドル建てで振り込まれていたから気づかなかった」は通じません。


■ 忘れがちな注意点

  • 収入は入金ベースでなく「発生ベース」で記帳

  • 著作権使用料の振込時期に注意(前年分が翌年に振り込まれるなど)

  • 売上の管理と経費の証憑(レシート・請求書)保存を忘れずに

  • 配信プラットフォームからの手数料差引きにも要注意(純収入ではない)


■ まとめ|自由な創作を守るために、税務もクリアに

ボカロPの活動は、音楽・映像・デザインなど多彩な分野にまたがり、創作の自由度が高い反面、税務上はやや複雑になりがちです。

  • 収入区分(雑所得・事業所得)の判断

  • 経費の正確な把握

  • 海外取引・クラウドファンディングの扱い

  • 確定申告の準備と実行

これらを丁寧に管理することで、安心して創作に打ち込む環境を整えることができます。

当事務所では、音楽クリエイターやボカロP向けの税務相談・記帳・申告代行も行っております。


■ お時間あればお聴きください♪

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