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賃上げ税制の基本|中小企業が活用できる税額控除制度

投稿:2025.05.17  更新日:2025.05.16

近年、政府は企業の「賃上げ(給与引上げ)」を後押しするために、法人税の負担を軽くする**「賃上げ促進税制」を整備しています。一定の条件を満たすことで、法人税の一部を税額控除(直接減らすこと)**できる制度で、特に中小企業にとっては節税メリットの大きい制度です。今回は、賃上げ税制の基本的な仕組みとポイントをわかりやすくご説明します。


■ 賃上げ税制とは?

賃上げ税制とは、従業員の給与を一定以上増やした場合に、増加分の一部を法人税額から差し引ける制度です。対象となるのは、**継続雇用している従業員(正社員・パートを含む)**に対して支払う給与です。


■ 中小企業向けの基本要件

令和6年度(2024年度)税制改正を踏まえた主な内容は以下のとおりです(※年度により変更あり)。

◎対象企業:

資本金1億円以下の中小企業(大企業等は判定要件などが異なります。)

◎基本の控除率:

  • 前年比で従業員への給与総額が1.5%以上増加した場合、増加額の15%を法人税から控除できます。

◎上乗せ要件(最大45%まで):

さらに以下の条件を満たせば、控除率がアップします。

  • 2.5%以上増加 → 控除率25%

  • 教育訓練費を10%以上増加 → +10%

  • インターン受け入れなどの成長投資 → +5%

  • 賃上げ表明・公表などの取組 → +5%

最大で45%まで税額控除が受けられる可能性があります。


■ 控除限度額と注意点

  • 控除できる法人税額には上限があり、その年の法人税額の20%が限度です。

  • 控除しきれなかった分は、一定の要件のもと翌年以降に繰り越すことができます

  • 賃金台帳や給与明細など、増加を証明する書類の保存が必要です。

  • 青色申告をしていることが前提条件です。


■ 賃上げ税制を活用するメリット

賃上げ税制は、「給与を上げたいが、資金繰りも心配」という中小企業にとって、人的投資をしながら税負担を減らすチャンスとなります。うまく活用すれば、実質的な人件費負担を抑えることも可能です。


■ 最後に

制度は毎年のように改正されており、**最新の条件をしっかり確認することが重要です。**また、制度を活かすには、給与体系の見直しや人材育成の投資計画など、中長期的な視点も求められます。

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