税理士ブログ
法人化のメリット「税率」について分かりやすく!
はじめに・・・
こんにちは!
東京都新宿区西新宿の税理士法人阿部会計事務所、税理士の阿部です。
「個人事業で続けているが、そろそろ法人にした方がいいのだろうか」
「新しく事業を始めたいが、個人事業と法人どちらがいいのだろうか」
このようにお考えの方は「法人化によるメリット」の視点から整理すると、判断がスムーズになります。
事業を初めて、売上が順調に推移し、一定の規模までいくと会社の方が節税の観点では有利になる可能性が高いです。
税金とは別に社会保険料など法人化することによって生ずるコストもあるので、
節税だけの観点から法人化を判断することには大きなリスクが伴います。
今回は総括的に判断する材料として、法人化の大きなメリットを「税率」の視点からご説明します。
個人事業主に課される税金
所得税の税率は6パターン!
まず初めに、個人事業に適用される税率を整理します。
個人事業については「所得税」「住民税」「事業税」が課せられ、「所得税」については以下の算式によって計算されます。
「課税所得×税率-控除額」
また、所得税の税率は下の図のように所得ごとに5%~45%の6段階に分かれております。
195万円以下 | 5% | 0円 |
---|---|---|
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
ご覧いただくとお分かりの通り、所得が高くなるにつれて税率も上がります。
これを超過累進課税方式と呼び、高額所得者ほど担税力が高いとされるため、税率を上げることで課税の公平を保っています。
住民税は一律10%で計算!
個人住民税の税率は、所得税とは異なり所得の金額によって税率が変わることはありません。
所得税に準ずる方法で計算した所得の金額に一律10%を乗じて計算します。
なお、10%を乗じた金額とは別に、事業者であるか会社員であるかに関わらず課される「均等割」という税金があります。
均等割は所得に関係なく一律4,000円程の金額になります。
事業税は業種に注意!
個人事業主で一定の事業を行っていると課されるのが事業税です。
税額は下記の算式で計算します。
「(所得-290万円)×税率」
事業主控除として無条件で290万円が所得から差し引かれることになります。つまり、所得が290万円を超えるまでは課税されない税金となります。
下記の業種を営んでいる場合に課税されます。
|
(国税庁HPより)
法人に課される税金
法人に対しては「法人税」「地方法人税」「法人住民税」「法人事業税」「地方法人特別税」が課せられます。
法人税は2パターンの税率!
法人税は企業区分を中小法人(資本金1億円以下の法人)と中小法人以外の法人とに区分し、さらに事業年度の所得の金額に分けて税率が定められています。
中小法人
年 800 万円以下の部分 15%
年 800 万円超の部分 23.4%
中小法人以外の法人
年 800 万円以下の部分 15%
年 800 万円超の部分 23.4%
法人住民税は法人税額を基準にして計算!
法人住民税はその事業年度の法人税の金額を基に計算します。
税率は自治体によって異なりますが、標準税率を採用している自治体についてはおおよそ17%の税率を法人税額に乗じて計算していきます。
また、個人住民税と同様に黒字でも赤字でも「均等割」として一律の税金が課せられます。
均等割の金額は会社の資本金の額や従業員の数によって異なりますが、例えば資本金1,000万円以下で従業員が50人以下の会社の場合は70,000円の均等割が課されることになります。
法人事業税は所得の金額を基に計算!
法人事業税と地方法人特別税(平成28年度をもって廃止予定)は、法人税と同様、法人の所得の金額に税率を用いて計算します。
◆法人事業税の税率表
区分 | 法人の種類 | 所得等の区分 | 税率(%) | |||||
平成28年4月1日から平成29年3月31日までに開始する事業年度 | 平成27年4月1日から平成28年3月31日までに開始する事業年度 | |||||||
不均一課税適用法人の税率 (標準税率) |
超過税率 | 不均一課税適用法人の税率 (標準税率) |
超過税率 | |||||
所得を課税標準とする法人 | 普通法人、公益法人等、人格のない社団等 | 所 得 割 |
適軽 用減 法税 人率 |
年400万円以下の所得 | 3.4 | 3.65 | 3.4 | 3.65 |
年400万円を超え 年800万円以下の所得 |
5.1 | 5.465 | 5.1 | 5.465 | ||||
年800万円を超える所得 | 6.7 | 7.18 | 6.7 | 7.18 | ||||
軽減税率不適用法人 | ||||||||
特別法人 〔法人税法別表三に掲げる協同組合等(農業協同組合、信用金庫等)及び医療法人〕 |
所 得 割 |
適軽 用減 法税 人率 |
年400万円以下の所得 | 3.4 | 3.65 | 3.4 | 3.65 | |
年400万円を超える所得 | 4.6 | 4.93 | 4.6 | 4.93 | ||||
軽減税率不適用法人 |
(国税庁HPより)
なお、資本金額が1億円を超える法人については、他に外形標準課税が適用されます。
外形標準課税は、給与などの人件費や地代家賃、支払利息などの金額を基準として計算するため、所得に関係なく、赤字でも課される税金となります。
おわりに・・・
超過累進税率である所得税に比べると法人税は比例税率となるため、所得が大きいほど税率によるメリットを受けることが可能です。
法人成りを検討する際に、どの税金または税率が適用されるかを前もって事業計画に組み入れた上で判断することがベストです。
最後までお読みくださりありがとうございます。
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