税理士ブログ
有給休暇について2スクロールでひとまとめ
はじめに
こんにちは!
東京都新宿区西新宿の税理士法人阿部会計事務所、税理士の阿部です。
今回は、有給休暇についての取り扱いを解説したいと思います。
有給休暇とは・・・
有給休暇とは、労働者の福祉の向上を図るための制度であり、
有給休暇を取ることで疲労の回復、健康の維持などを促すことを目的とします。
給与の額を減らされることなく仕事を休むことができるため、労働者にとってはありがたい規定となります。
注意点としては、有給休暇制度は労働基準法に定められた労働者側の権利ということです。
会社側は労働基準法に定められている計算日数(下記参照)を最低限与える義務が生じます。
そのため、就業規則を作成していないという会社でも最低日数は与えなければなりません。
会社が独自に計算して従業員に有給休暇の日数を与えたとしても、
それが労働基準法に規定される日数以上でなければ、労働基準法違反となり、
定められた最低基準に引き伸ばしがされます。
有給日数は雇い入れ後の経過期間で決まる!
有給休暇は、労働者がどのくらいの期間労働したかによって計算されます。
労働基準法第39条にて規定されており、一般的な労働者については下記の日数となります。
勤務開始から6カ月・・・10日
勤務開始から1年半・・・11日
勤務開始から2年半・・・12日
勤務開始から3年半・・・14日
勤務開始から4年半・・・16日
勤務開始から5年半・・・18日
勤務開始から6年半以上・・・20日
勤務開始から6カ月間過ぎ、かつ8割以上の勤務実績があると、労働者は10日間有給が取れることになります。
なお計算する上での注意点としては、有給日数には2年の時効があるということです。
すなわち、取得した日から2年間経過して、
まだ消化していない日数が残っているときは時効によってその日数は消滅してしまいます。
例えば入社してから2年半が経ったフルタイム労働者で、前年度に6日間の有給を消化しているケースでは、
「11日(1年半)-6日+12日」=17日が残日数ということになります。
有給休暇の買取りは原則違法!
上記の計算によっては最大40日(6年半以上の労働者がまったく消化しなかったケース)の有給日数を残したまま退職に至るということもあります。
中小企業の場合だと特に就業規則が周知されていないケースが多くあるため、
すべての日数を消化しているという方がめずらしいのかもしれません。
このような場合、労働者から買い取りの依頼を受けるということもあります。
結論ですが、有給休暇の買取りは原則違法となります。
原則とすべて書きましたが、すべての買取りが違法となるわけではありません、例外があります。
一つ目としては「法律で定められた日数」を超える部分の買取りです。
上述しましたが、労働基準法第39条によって最低限与える日数は定められております。
その最低限の日数を超えた日数を買い取る場合は違法ではないとされています。
二つ目は、「退職日までどうしても消化しきれない日数がある場合」についても認められています。
この場合、労働者としてはせっかく得た権利を使用しないままになるため、どうにか処理したいところとなりますが、
実は会社側には買い取る義務はなく、あくまで労使の話し合いで落としどころを決めるということになります。
例外措置として買取が行われた場合、税務上その金額が給与に該当するか退職金に該当するかの判断が重要となります。
所得税における通達では「退職所得等は、本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、
退職したことに基因して一時に支払われる給与をいう」と規定されています。
退職時の余った日数を買い取ることが原則の例外として認められていることから、
支払いが退職に起因するもので、なおかつ、退職金と同時に支払われるものであるときは、
退職手当として取り扱う見解が有力です。
おわりに
最後までお読みくださりありがとうございます。
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