税理士ブログ
設立時定款が税務にどう影響するか⑤~「計算」「附則」~
はじめに
こんにちは!
東京都新宿区西新宿の税理士法人阿部会計事務所、税理士の阿部です。
今回は、会社設立時に作成する定款が、後の税務にどう影響するかを解説したいと思います。
第5章と第6章について・・・
第4章に引き続いて、第5章の「計算」と第6章の「附則」の内容について確認したいと思います。
後々に思わぬ拘束を受けないように、設立時の定款の内容を充分に検討することが必要です。
第5章 計 算
(事業年度)
第〇条 当会社の事業年度は、毎年〇月〇日から翌年〇月〇日までとする。
会社の年間の業績を計算するために、一定の区切りを設ける必要があります。
この一つの区切りのことを事業年度といいますが、法人税では1年を超える期間を事業年度とすることはできません。
決算月を末日に設定する場合には30日もしくは31日と記載します。
※2月のケースのみ「末日」と記載します。
(剰余金の配当)
第〇条 剰余金の配当は、毎事業年度末日現在の最終の株主名簿に記載または記録された株主または登録株式質権者に対して行う。
配当を行うかどうかは原則として株主総会によって決議されます。
会社法では、債権者保護の観点から純資産額が300万円を下回る場合、剰余金の配当を行うことは認めないとしています。
(配当等の除斥期間)
第〇条 剰余金の配当が、その支払開始の日から満3年を経過しても受領されないときは、当会社はその支払い義務を免れるものとする。
除斥期間とは、一定期間権利の行使をしないときはその権利を失う期間のことです。
除斥により配当する義務が消滅したときは、以下の仕訳を入力することになります。
未払配当金(負債) / 雑収入
しかし、源泉税については注意が必要です。
所得税では、総会決議から1年を経過した日までに未払いの場合、1年を経過した日に配当を支払ったものとみなすとしていることから、翌月10日までに配当に係る源泉税を納付しなければなりません。
第6章 附 則
(設立に際して発行する株式)
第〇条 当会社の設立に際して発行する株式の数は〇〇株とし、その発行価額は1株につき金〇万円とする。
設立時に発行する株式数と、1株当たりの価額を規定します。
(設立に際して出資される財産の価額および資本金)
第〇条 当会社の設立に際して出資される財産の価額は、金〇〇万円とする。
2 当会社の成立後の資本金の額は、金〇〇万円とする。
消費税法では設立時資本金が1,000万円を超えるかどうかで初年度の納税義務の有無が決まります。
消費税法では原則として2年前の売上額を基準に当期の納税義務の有無を判定しますが、設立時の資本金額が1,000万円を超える会社にあっては設立時から納税しなければならないと規定しています。
なお、3年目からは原則として2年前の売上高を基準として納税義務の判定をすることになります。
また、法人税法では資本金が1,000万円以下の会社で一定の要件を満たす場合には、中小企業者としていくつかの優遇措置を設けています。
(最初の事業年度)
第〇条 当会社の最初の事業年度は、当会社設立の日から平成〇年〇月〇日までとする。
設立第1期が12か月に満たない場合は、減価償却の償却率の調整などが必要です。
(設立時取締役および設立時代表取締役)
第〇条 当会社の設立時取締役および設立時代表取締役は、次の通りとする。
〇〇県〇〇市〇〇 〇丁目〇番〇号
設立時取締役および設立時代表取締役 〇田〇夫
設立時の取締役および代表取締役を定めます。
(発起人の氏名または名称および住所等)
第〇条 発起人の氏名または名称および住所、割当てを受ける設立時発行株式の数、および設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額は次のとおりである。
〇〇県〇〇市〇〇 〇丁目〇番〇号
〇田〇夫 〇〇株 金〇〇万円
東京都〇〇区〇〇 〇丁目〇番〇号
〇川〇代 〇〇株 金〇〇万円
(法令の準拠)
第〇条 本定款に定めのない事項については、すべて会社法その他の法令の定めるところによる。
おわりに・・・
定款の他の各章についてはこちらをクリックください。
↓↓↓
最後までお読みくださりありがとうございます。
税金や会計でお困りのことがございましたらお問合せフォームをご利用ください。
東京都新宿区西新宿の税理士法人阿部会計事務所、税理士の阿部でした!