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寿司店経営者のための“経営&税金ネタ帳”

投稿:2025.10.06  更新日:2025.09.19

はじめに:寿司屋のカウンターの裏にも、税理士はいる。

こんにちは、新宿区西新宿の税理士法人阿部会計事務所の税理士阿部です。

「板前は包丁、経営者は電卓が命」——

そんな言葉があってもおかしくないくらい、寿司店の経営には“数字”がつきものです。

食材費、人件費、家族の給与、消費税、外国人スタッフの税金対応……。

それらすべてが、うまい寿司を握りながらも避けて通れない“税務”のネタです。

この記事では、寿司店の現場に沿った税務知識を、顧客・経費・アルバイト・家族給与まで幅広く解説します。


① 寿司店の顧客ターゲットについて:経営戦略=税務戦略の始まり

まず、経営の基本は「誰に売るか」。

例えば以下のようなターゲット層が考えられます。

  • 地元密着型のファミリー向け寿司店

  • 観光客ターゲットのインバウンド寿司

  • ビジネス層狙いのランチ重視型寿司

  • 完全紹介制の高級寿司カウンター

顧客ターゲットが変わると、当然ながら売上の波、経費の内容、取引先の種類も変わります

結果として、帳簿や経費計上の仕方、消費税の課税区分にも影響を及ぼします。

👓たとえば…

  • 観光客中心なら外国語対応レジ・案内板などが必要になり、減価償却資産や開業費として計上可能。

  • 高級寿司なら接待需要も多く、接待交際費の範囲の理解が重要。

  • ランチ営業を強化するなら、フードデリバリーやテイクアウト時の消費税の扱いにも注意が必要です。

💡ポイント:
経営戦略を練ることは、税務戦略を設計することでもあります。


② 消費税簡易課税について:原価率が高い寿司屋は“選択”が命!

寿司屋の消費税申告において非常に重要なのが「簡易課税制度」。

簡易課税とは?

通常、消費税は「預かった消費税-支払った消費税」で計算しますが、

簡易課税では業種ごとにみなし仕入率を適用することで、

実際の支出額にかかわらず計算できる制度です。

  • 飲食業の仕入率:60%

  • 簡易課税が使えるのは、前々年の課税売上が5,000万円以下の事業者

寿司店における判断ポイント

寿司店は食材原価が高めです。

例えば、マグロ・ウニ・いくらなどを多用する高級店は、

実際の仕入率が70〜80%になることも。

この場合、簡易課税を選択すると「損をする」可能性があります。

逆に、原価が低く抑えられているランチ重視型の寿司店などでは、簡易課税で有利になるケースも。

💡税理士の視点から一言:
「節税のための“ネタの仕入れ”」なんてバカな話が出ないように、原価率の把握と申告方式の選択は慎重に!


③ 外国人(非居住者)アルバイトの源泉所得税について

寿司屋の現場では、技能実習生や留学生アルバイトが働くケースも増えています。

税務上の注意点

非居住者(日本に住所も1年以上の滞在もない人)への給与は、

原則として20.42%の源泉徴収が必要です。

ただし、以下のような例外や注意点もあります。

  • 留学生であっても、滞在期間・在留資格によっては「居住者」扱いになる。

  • 滞在期間が1年以上になった時点で、源泉区分を変更する必要あり

  • 非居住者の交通費支給などにも源泉がかかる場合あり。

💡要チェック:
外国人スタッフの「在留カード」「就労資格証明書」を必ず確認し、

税務上の区分を明確にしておきましょう。


④ 家族に支払う給料について:寿司屋は“家族経営”が多いからこそ要注意!

寿司屋の経営では、奥様がレジ、息子が厨房補助、おばあちゃんが洗い場…という風景は珍しくありません。

税務上の家族給与のルール(個人事業主の場合)

  • 青色申告専従者給与制度を使うことで、経費にできる

  • 条件:

    • 生計を一にする配偶者・親族

    • 事業に専従している

    • 税務署への届出が必要

    • 金額は「合理的かつ相当な金額」であること

たとえば「奥さんに年収800万円」としても、

実態として週に数時間レジを打つだけなら、

税務署に否認される可能性もあります。

💡法人化している場合は?
法人の場合は、役員としての役員報酬または従業員としての給与になります。

ただし、こちらも「業務実態に見合った金額」であることが大前提です。


まとめ:

税金や労務の処理は、寿司を握るような“感覚”や“勘”では通用しません

帳簿、税制、届出、源泉、給与設計……

細かな数字の積み重ねが、経営の安定を生むのです。

寿司店経営の税務でよくある相談

  • どのタイミングで法人化すべき?

  • 消費税のインボイス制度でどう対応する?

  • 家族経営における給与と社会保険の設計は?

  • 食材費や店舗改装費の処理方法は?


🧾最後に:

税理士は「申告だけする人」ではありません。

お客様の店舗の未来を一緒に考え、経営と税務、両方を握れる税理士に、ぜひご相談ください。

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