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システムエンジニアが確定申告について知っておくべきこと

投稿:2025.06.12  更新日:2025.05.29

近年、フリーランスとして働くシステムエンジニアや、副業として開発案件を受託するエンジニアが増加しています。
企業に属さない働き方が一般化する中で、確定申告は避けて通れない税務手続きとなっています。

この記事では、システムエンジニアの方が確定申告を行う際の基本的な考え方と実務上の注意点を税理士の視点から解説します。
本業・副業を問わず、「確定申告が必要かどうか」「経費にできるものは何か」といった疑問にお答えします。


■ 確定申告が必要なシステムエンジニアとは?

確定申告が必要になるのは、主に次のようなケースです:

◎ フリーランス(個人事業主)として開業している場合

クライアントから報酬を受け取る形で働いているエンジニアは、事業所得として確定申告が必要です。
原則として年間所得(収入-経費)が48万円を超える場合、申告義務が発生します(基礎控除後の金額)。

◎ 副業でエンジニア業をしている会社員

会社員であっても、副業収入がある場合は注意が必要です。副業による所得(収入-経費)が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります(所得税法第121条の特例)。


■ 確定申告の基本的な流れ

  1. 開業届の提出(任意だが推奨)
     個人事業として本格的に活動する場合は、税務署に「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」を提出しましょう。
     同時に「青色申告承認申請書」も出しておくと、後述の青色申告特典が受けられます。

  2. 収入と経費の記帳・帳簿作成
     会計ソフトやExcelなどで、毎月の売上・支出を記録しておくことが重要です。領収書や請求書は必ず保存しておきましょう。

  3. 確定申告書の作成・提出
     翌年の2月16日〜3月15日が所得税の確定申告期間です。e-Tax(電子申告)や税務署への郵送・持参で提出できます。

  4. 納税
     申告書の内容に基づき、所得税・住民税・場合によっては事業税の納付を行います。


■ 経費として認められる主な費用

システムエンジニアの業務に関連する支出は、原則として必要経費に計上できます。代表的な経費は以下の通りです:

  • パソコン・モニター・周辺機器(業務利用分)

  • ソフトウェアや開発ツールの使用料(SaaS含む)

  • クラウドサーバー代(AWS、Azure等)

  • インターネット回線費用(按分)

  • 自宅の一部を事務所として使っている場合の家賃・光熱費(合理的な割合で)

  • 通信費(スマートフォン、Wi-Fi)

  • 書籍代(IT関連、業務に必要なもの)

  • 研修費・セミナー参加費

  • コワーキングスペースの利用料

  • 開業費(初期の広告や登録料など)

事業との関連性が明確であり、証拠資料が保存されていることが大前提です。


■ 青色申告と白色申告の違い

個人事業主の確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。

◎ 青色申告の主なメリット:

  • 最大65万円の控除が受けられる(複式簿記+電子申告)

  • 赤字の繰越(最大3年)が可能

  • 家族に対する給与の必要経費化(専従者給与)

青色申告を希望する場合は、開業から2か月以内に「青色申告承認申請書」を提出しておく必要があります。


■ 実務上の注意点①:源泉徴収の有無を確認

業務委託契約によっては、クライアントから報酬を支払う際に源泉所得税が天引きされている場合があります(例:1回の報酬が10万円であれば、約1割の1万円が引かれる)。

→ 年末にクライアントから送付される「支払調書」を確認し、申告時には源泉徴収された金額を記載しましょう。還付対象になることもあります。


■ 実務上の注意点②:消費税の課税事業者判定

課税売上が2年前に1,000万円を超えていた場合は、翌々年から消費税の課税事業者になります。
また、インボイス制度(令和5年10月〜)により、適格請求書発行事業者としての登録を求められるケースも増加しています。

→ 報酬に消費税を上乗せしているか?登録が必要か?早めに判断が必要です。


■ 実務上の注意点③:確定申告しないリスク

確定申告を怠ると、以下のようなペナルティが発生する可能性があります:

  • 無申告加算税(原則15%、最大20%)

  • 延滞税(納付が遅れた場合、年率最大14.6%)

  • 青色申告特典の取消

  • 副業が会社にバレるリスク(住民税の特別徴収)

確定申告は「やらないと損をする」「後で困る」可能性が高いので、早めの準備が肝心です。


■ まとめ|システムエンジニアにとって確定申告は“スキル”の一部

フリーランスや副業を行うシステムエンジニアにとって、確定申告は単なる義務ではなく、自分の働き方を支える重要な管理業務です。
正しく申告することで、節税や資金計画の面でもメリットを享受できます。

当事務所では、IT業界に精通した税理士が、開業届の提出から青色申告、帳簿作成、e-Taxの利用まで一貫してサポートいたします。
「帳簿付けが不安」「副業収入が増えてきた」など、どんなご相談でもお気軽にお問い合わせください。

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