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固定資産税とは?|仕組みと注意点をわかりやすく解説

投稿:2025.06.09  更新日:2025.05.29

不動産を所有していると、毎年届く「固定資産税の納税通知書」。
金額の大小にかかわらず、毎年確実に支払いが発生するため、経営上もキャッシュフロー面でも重要な税金です。

しかし、「なぜこの金額なのか」「どう計算されているのか」が曖昧なまま納めている方も多いのが実情です。
今回は、固定資産税の基本的な仕組みと実務上の注意点を、税理士の立場からわかりやすく解説します。


■ 固定資産税とは?

固定資産税とは、土地・家屋・償却資産などの固定資産を所有している人に対して課される**市町村税(東京23区は都税)**です。
その性質から、保有しているだけで課税される「資産課税型」の税金であり、所得の有無に関係なく毎年課税されます。


■ 課税される資産と対象者

以下の固定資産が課税対象になります:

  • 土地:宅地、田畑、駐車場など

  • 家屋:住宅、事務所、倉庫、工場などの建物

  • 償却資産:事業用の機械設備、器具備品など(法人・個人事業主が保有)

そして、その年の1月1日時点で固定資産を所有している人が納税義務者になります。
つまり、年の途中で不動産を売却した場合でも、1月1日に所有していれば、その年の税金は売主が負担するのが原則です。


■ 固定資産税の計算方法

固定資産税は、次のように計算されます:

課税標準 × 税率(原則1.4%) = 年間の固定資産税額

◎ 課税標準とは?

固定資産の評価額(=固定資産課税台帳に記載された価格)をもとに算出されます。
土地・家屋の評価は、3年ごとに見直され、通常は評価替え年度(直近は令和6年度)に基準が更新されます。

◎ 償却資産について

事業用の資産(パソコン、什器、看板、工作機械など)については、所有者が毎年1月末までに「償却資産申告書」を提出し、課税標準が決定されます。未申告や誤りがあると、加算税・過少申告加算税の対象になることもあります。


■ 固定資産税の支払い時期

固定資産税は、原則として年4回(6月、9月、12月、翌年2月)に分けて納付します。
ただし、一括納付も可能であり、自治体によってはインターネットバンキングやクレジットカード納付にも対応しています。


■ 実務上の注意点①:減免制度・軽減措置の活用

固定資産税には、以下のような軽減措置があります:

  • 住宅用地の特例(小規模住宅用地:課税標準1/6、大規模住宅用地:課税標準1/3)

  • 新築住宅の軽減措置(120㎡以下の部分について3年間1/2軽減)

  • 被災・倒壊などによる減免申請(火災や地震による損壊時など)

→ 特例や減免は申請が必要なものも多いため、見逃さないことが重要です。新築や用途変更があった場合は必ず確認しましょう。


■ 実務上の注意点②:相続・売却時の注意

1月1日時点での所有者に課税されるため、不動産売買の契約書では「固定資産税の清算条項」を入れるのが一般的です。
また、相続が発生した場合も、登記手続きが完了していなくても1月1日時点の所有者(被相続人)に課税されます。相続人が支払う場合は、納税通知書の宛名に注意し、法定相続人での対応が必要です。


■ 実務上の注意点③:償却資産の申告漏れに注意

法人・個人事業主の場合、償却資産(机・椅子・複合機・看板など)を所有していると、固定資産税の対象となります。
原則として、1月1日時点の資産について、1月31日までに各市町村へ償却資産申告書を提出する必要があります。

これを怠ると、課税逃れとみなされる可能性があり、過去に遡って課税される・罰則を受ける可能性もあるため、非常に重要です。
会計上の固定資産台帳と税務申告用の償却資産との整合性にも注意を払いましょう。


■ よくある誤解・相談事例

  • 「空き地や空き家でも固定資産税はかかるのか?」 → **はい、かかります。**活用していなくても所有していれば課税されます。

  • 「土地と建物を分けて売却したが、税金はどうなる?」 → 基本的には1月1日時点の所有者が負担しますが、売買契約で精算することが多いです。

  • 「他人名義の資産を実質的に使用しているが、申告は必要か?」 → 実態に応じた課税となる可能性がありますので、税理士等への相談が必要です。


■ まとめ|固定資産税は毎年の確実な納税義務

固定資産税は、不動産や事業資産を所有している限り毎年必ず発生する税金です。
金額そのものは比較的少額でも、所有物件が増えたり特例が適用されなかったりすると、年々負担が大きくなるケースもあります。

また、償却資産の申告・住宅用地の判定・所有者名義変更の届出など、適正に行わないとペナルティや追徴課税のリスクが生じます。

当事務所では、固定資産税に関する個別のご相談や、償却資産申告書の作成サポート、不動産売買・相続時の税務支援も行っております。
「納税額が妥当か確認したい」「軽減措置が適用されているか不安」「償却資産の整理ができていない」など、お困りの際はお気軽にご相談ください。

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