税理士ブログ
決算期変更に必要な手続きについてひとまとめ!
はじめに・・・
こんにちは!
東京都新宿区西新宿の税理士法人阿部会計事務所の税理士阿部です。
決算期の変更、例えば、
「2月決算を今期から8月決算に変更したい」といった場合には、
8月にただ決算を組むという処理だけではなく、しなければならない手続きがいくつか生じます。
また、それによって税務上にも注意点がでてきます。
今回はそれぞれに必要な処理をまとめてみます。
株主総会議事録の作成
はじめに会社の決算期をどの書類で変更していくかですが、
まず「株主総会議事録」を作成します。
通常、決算期は設立の際に会社のルールを決めた定款という書類に定められています。
この定款に定められた内容を変更する処理が必要になります。
定款変更には株主総会特別決議が必要です。
特別決議が成立する条件としては、発行済株式総数の過半数の株を有する株主が出席して臨時株主総会を開催し、
その議決権の3分の2以上が賛成することが求められます。
この特別決議を経ると、決算月変更が成立することになります。
ここでの注意点としては、あくまで株主総会の議事録に変更後の決算月は記載されますが、
定款に記載された箇所については特段書き換えは必要がありません。
また、登記事項にも該当しないため法務局とのやりとりも必要ありません。
税務上必要な届出書
株主総会で決議をした後は、決算月を変更したことを税務署などへ知らせなければなりません。
必要な事項を記載した届出書を、所轄の税務署、都道府県税事務所、市区町村役所へ提出します。
そして、提出する届出書には株主総会で決議した議事録を添付して届け出ます。
決算で留意する事項
例えば2月決算を8月決算にするといった場合には、
最初の月の3月から8月まで、6か月間で決算をすることになります。
このような場合12か月の決算処理とは異なり、以下のようなことに留意する必要があります。
法人税の軽減税率
資本金が1億円以下の会社については、800万円以下の課税所得に対し、
通常の25.5%の税率ではなく、15%の税率で算出することが認められています。
事業年度が1年未満の場合、以下の算式で計算した金額になります。
『800万円 × 事業年度の月数/12』
減価償却
減価償却とは建物や機械などの固定資産を買ったときに全額費用化せず、
将来にわたって取得費を按分して費用化する処理です。
償却率と呼ばれる率を乗じて償却額を計算していくわけですが、
この償却率は1年、12か月を前提に定められています。
そのため、決算期が1年未満となるときはこの償却率を改定しなければなりません。
交際費
資本金が1億円以下の法人については交際費は年間800万円までの金額は全額損金算入されます。
1年未満の決算の場合、この800万円を月割した金額が限度額となり、以下の算式で計算します。
『800万円 × 事業年度の月数/12』
少額減価償却資産の限度額
青色申告書きを提出する資本金1億円以下の会社は、
年間300万円を限度と、取得価額が30万円未満の備品等を一括で損金算入できます。
1年未満の決算の場合、限度額の300万円が月割されることになります。
具体的には以下の算式で計算します。
『300万円×事業年度の月数/12』
地方税均等割の計算
都道府県や市町村に納付する均等割を月割計算します。
赤字でも納付が必要な税金であるため注意が必要です。
おわりに
最後までお読みくださりありがとうございます。
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