税理士ブログ
源泉徴収義務の考え方~カメラマンに対する撮影代~
はじめに
こんにちは!
東京都新宿区西新宿の税理士法人阿部会計事務所の税理士の阿部です。
今回はカメラマンの撮影料について源泉徴収が必要かどうかのお話です。
源泉徴収とは会社が個人の取引先に報酬料金を支払う際に、
あらかじめ相手の所得税を預かって税務署へ納付する制度です。
カメラマンの撮影代に源泉徴収は必要か?
会社がHPに載せる写真や、公告のために使用する画像の撮影を、
プロのカメラマンに依頼することがあると思います。
カメラマンが法人(会社)であれば問題にはなりませんが、
個人事業者であった場合、源泉徴収が必要かどうかが問題になります。
源泉徴収は所得税法に規定されている制度です。
相手が個人事業者であれば必ず源泉徴収するかというとそうではなく、
限定的に定められており、該当する業務を個人の外注に依頼した場合には、
源泉徴収して税務署へ納付しなければなりません。
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[所得税法施行令第320条第1項]
第二百四条第一項第一号 (源泉徴収義務)に規定する政令で定める報酬又は料金は、
テープ若しくはワイヤーの吹込み、脚本、脚色、翻訳、通訳、校正、書籍の装てい、
速記、版下(写真製版用写真原板の修整を含むものとし、写真植字を除くものとする。)
若しくは雑誌、広告その他の印刷物に掲載するための写真の報酬若しくは料金、技術に関する権利、
特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるものの使用料、技芸、スポーツその他これらに類するものの教授
若しくは指導若しくは知識の教授の報酬若しくは料金
又は金融商品取引法第二十八条第六項 (通則)に規定する投資助言業務に係る報酬若しくは料金とする。
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条文では『雑誌、広告その他の印刷物に掲載するための報酬若しくは料金』について、
源泉徴収が必要であると規定しています。
パンフレットや雑誌は印刷物であるため源泉徴収が必要となります。
悩ましいのは会社のHP等のWEB上の画像や動画のケースです。
WEB上の画像や動画が『印刷物』に該当するかを判断する必要があります。
文面だけをみると『印刷物』ということから、
紙面に掲載する場合という読み方もできるかと思います。
しかし、こちらの法律がつくられた時代には、
WEB上での画像や動画が主流となっていなかった可能性があります。
カメラマンの業務もWEBの普及により変わってきていることも考えられ、
撮影代のうち印刷するものとしないもので分けるという理由も明らかではありません。
そのため、法のもともとの目的を踏まえると、
紙面に印刷するケースのみではなく、WEB上での掲載についても、
源泉徴収はすべきではないかというのが、個人的な見解です。
おわりに
源泉徴収を怠った場合、加算税等のペナルティは支払側に生じます。
取引先である受取側ではないことにご注意ください。
最後までお読みくださりありがとうございます。
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