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システムエンジニア(個人事業主)の経費(認められる支出と注意点)

投稿:2025.06.19  更新日:2025.05.29

個人事業主として活動するシステムエンジニアにとって、「経費を正しく計上すること」は確定申告における重要なポイントです。
売上から必要経費を差し引いた「所得」に対して所得税がかかるため、事業に関係する支出は適切に経費化することで節税にもつながります。

しかし、「何が経費にできるのか?」「どこまでが事業に関係あるとみなされるのか?」と悩まれる方も少なくありません。
この記事では、システムエンジニアが経費として計上できる支出の基本的な考え方と、実務上の注意点について詳しく解説します。


■ 経費計上の原則|「事業に必要かどうか」が判断基準

経費とは、「収入を得るために直接必要な支出」のことです。税務上は、以下のように定義されます。

『事業所得を得るために必要と認められる支出』(所得税法第37条)

つまり、その支出が仕事のためであるかどうかが経費認定のポイントです。私的な支出や趣味・生活費にあたるものは、当然ながら経費に含めることはできません。


■ システムエンジニアに多い経費の具体例

以下は、フリーランスのシステムエンジニアが経費として計上できる可能性のある支出です。

◎ 1. IT機器・ソフトウェア関連

  • パソコン・モニター・周辺機器(マウス、キーボード等)

  • プリンター・スキャナー・外付けHDDなど

  • 有料ソフトウェア・アプリ(月額課金型も含む)

  • 開発ツール、IDE、エディタ等のライセンス料(例:Visual Studio、JetBrains製品など)

→ 10万円以上の機器類は「固定資産」として減価償却対象になります(青色申告なら30万円未満は一括償却可)。


◎ 2. 通信費・インフラ関連

  • インターネット回線使用料(按分が必要)

  • モバイルWi-Fi、スマートフォン代(業務割合に応じた按分)

  • クラウドサービス使用料(AWS、GCP、Azureなど)

  • ドメイン取得費、レンタルサーバー代


◎ 3. 自宅兼事務所の家賃・光熱費

  • 自宅の一部を仕事場として使っている場合、面積や使用時間に応じて按分して経費計上可能。

  • 家賃、水道光熱費、電気代、ガス代、共益費などが対象。

→ 「事業専用スペースあり(例:1部屋をオフィスにしている)」という状態であれば、按分の根拠が明確になりやすくなります。


◎ 4. 交通費・出張費

  • クライアント先訪問の電車代・バス代

  • セミナー・勉強会への出張費

  • 自家用車を業務に使う場合のガソリン代・高速代(走行記録を残すのが望ましい)

→ 通勤定期券や私用移動分は経費にできません。


◎ 5. 交際費・会議費

  • 顧客との打合せ時のカフェ代、昼食代(過度でない範囲)

  • 業務関連の情報交換を目的とする飲食代

→ 明確な「事業目的」が必要です。レシートの裏などに「◯◯社の××さんと打合せ」などとメモを残しておくと安心です。


◎ 6. 書籍・研修・資格取得関連

  • 技術書、IT関連雑誌、業界新聞など

  • セミナー参加費、オンライン講座受講料(Udemyなど)

  • 業務上必要な資格(基本情報、応用情報、AWS認定など)の受験料

→ 趣味的・教養的な内容の支出は経費として否認されることもあります。内容と関連性を整理しておくことが重要です。


■ 経費計上の注意点

◎ 1. 「家事関連費」との区分に注意

通信費や家賃・光熱費のように、プライベートと業務の両方に使われる支出は按分処理が必要です。
合理的な割合(使用面積や使用時間など)をもとに、経費と個人使用分を区別しましょう。


◎ 2. 領収書・レシートの保存は必須

税務署から確認を求められた際に備え、支出の証拠資料は原則として7年間保存する必要があります(青色申告の場合)。
電子データ保存も可能ですが、一定の要件を満たす必要があります。


◎ 3. クレジットカード明細だけでは不十分なことも

支出の内容が明細に書かれていても、「業務目的」が不明確なものは経費として否認される場合があります。
明細+レシート、またはメモの組み合わせで、支出の妥当性を裏付けられるようにするのがベストです。


◎ 4. 業務に無関係な支出は経費にならない

以下のような支出は、事業との関連性がないため経費にはできません:

  • 私的な飲食・娯楽費(例:友人との飲み会代)

  • 家族旅行費用

  • 私用スマートフォンの全額

  • 自家用車の車検や保険料(業務利用がなければ不可)


■ まとめ|「事業に必要か?」が経費判断の軸

システムエンジニアにとっての経費は、仕事に必要な機材・通信・知識習得のための投資など、多岐にわたります。
しかし、経費にできるかどうかの最大の判断基準は、「その支出が明確に事業のためであるか」です。

何でも経費にしてしまうと、税務調査で否認され、追徴課税やペナルティの対象になるおそれもあります。
反対に、きちんとした記録・説明があれば、正当な経費として認められるべき支出は安心して計上できます。

当事務所では、システムエンジニアの方の開業から申告・記帳代行・経費相談までトータルでサポートしています。
「この支出は経費になる?」「按分の仕方がわからない」など、ご不明点があればお気軽にご相談ください。

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