税理士ブログ
健康保険の給付のひとまとめ。法人は加入が義務です。
はじめに
東京都新宿区西新宿の税理士法人阿部会計事務所、税理士の阿部です。
今回は健康保険についてその給付内容に触れながら解説したいと思います。
健康保険とは・・・
法人である会社は「健康保険」への加入が義務づけられています。
義務づけられているものとして他に「厚生年金保険」「介護保険」がありますが、
この3つを総称して一般的には社会保険と呼びます。
(「雇用保険」と「労災保険」を含んで広い意味で社会保険と呼ぶケースもあります。)
健康保険は、業務外で病気やケガをしたときや出産、または死亡した際にそれぞれ給付があります。
仕事中もしくは通勤の生き帰りの途中で生じた病気やケガついては給付を受けることができず、
その場合は労働者災害補償保険、いわゆる労災より給付を受けることとなります。
主な給付の内容
普段何気なく保険料が給与から引かれて、あまり加入している実感がない健康保険ですが実は様々な給付があります。
療養の給付
病院に保険証を出して、何割かの負担のみで治療を受けることが出来る『療養の給付』が身近ではないでしょうか。
療養の給付の範囲は次のようになります。
(1)診察
(2)薬又は治療用の材料費
(3)処置・手術その他の治療
(4)居宅での療養上の管理及びその療養に伴う世話
(5)病院などへの入院及びその療養に伴う世話
窓口での負担割合は、0歳から小学校入学前までは2割、
小学校に入学後69歳までは3割、
70歳から74歳までは2割、
そして75歳以上は1割(後期高齢者医療制度に切り替わります)と決まっています。
療養費
療養の給付と名前が似ていますが、こちらは一旦やむを得ず全額自費で立て替え、
その後手続きを行うことで健康保険が効く部分の支給を受ける給付となります。
また、海外旅行中に海外の病院で治療を受けた場合でも、
日本に帰国してから一定の申請をすると、「海外療養費」として日本の健康保険の適用対象となる部分が支給されます。
海外の医師より診断書を受け取るときに、
海外の医師よりケガの内容などをできるだけ詳しく記入してもらうことがより多くの給付を受けるポイントとなります。
保険外併用療養費
診療の内容によっては保険が適用されないものがあり、その場合の自己負担は全額となります。
治験に係る診療や先進医療と呼ばれているものには、保険が適用されないものが多くあります。
しかし、患者側からのそのような保険適用外の高度な医療サービスに対するニーズとの調整として、
治療費や入院料などの基礎部分に対しては「保険外併用療養費」としての給付が行われます。
自己負担割合は「療養の給付」と同様となります。
訪問介護療養費
自宅において継続して療養している人が、主治医の指示にもとづいて、
訪問看護ステーションの看護師、准看護師、助産師などから療養上の世話や診療の補助を受けた場合、
その訪問看護に要した費用について「訪問看護療養費」として給付を受けることができます。
訪問看護療養費の給付を受ける場合、事前に主治医に相談し「訪問看護指示書」を出してもらう必要があり、
訪問した看護師はその指示書に従い必要なサービスを行います。
高額療養費
病気やケガによっては入院期間が長くなったり医療費が高額になる場合も生じます。
そこで、同じ病院などでの自己負担額が一月に一定額を超えた場合に、
その超えた額を「高額療養費」として支給する制度があります。
世帯で合算して適用を受けることもでき、
さらに1年以内に4回以上高額療養費の対象となった月がある場合には、
自己負担となる金額が引き下げられる場合もあるという手厚い給付になります。
傷病手当金
ケガや病気のため働くことができない期間が長くなると、
収入が減少し生活の安定を欠く可能性があります。
健康保険ではその働くことができない期間について、要件を満たすと収入補填として「傷病手当金」を支給します。
要件は次の通りです。
・ケガや病気をしていること
・今まで為していた本来の業務ができないこと
・4日以上連続して仕事を休むこと(半日でも出勤すると要件を満たしません。)
支給額はおおよそ、休む前1年間の1日分の給料の平均額の3分の2に相当する額となります。
また、支給を受けている期間に会社から報酬を受け取った場合、その報酬の額が休業手当金より少ないときは、その差額の支給を受けることもできます。
出産育児一時金
被保険者が出産をしたときは「出産育児一時金」が支給されます。
またその被扶養者が出産した際は、「家族出産育児一時金」が支給されます。
出産育児一金の額は42万円とされており、
退院時に出産費用を支払うときに総額から42万円を控除した額を支払うことで支給を受ける形がとられています。
出産手当金
出産手当金は産前産後の休業により所得の減少を補うものとして支給されます。
出産の日以前42日から出産日後56日までの間で働かなかった期間が対象となり、
支給される金額は傷病手当金と同様になります。
埋葬料
被保険者が死亡した場合、葬式費用として5万円が支給されます。
日本の公的な医療制度は世界でもトップレベルです。
上記の給付以外にも様々な給付が用意されており、将来何かあったときに困らないよう、
どのような給付があるかを事前に把握しておきたいところです。
健康保険に関する確定申告
健康保険料は所得税の計算上、支払った金額は税金の対象となる所得から控除されます。
会社勤めの方については、控除のための特別な手続きをしなくても、
毎年の年末調整においてその年に支払った金額が控除されます。
ただし、医療費控除を受けようとするときは注意が必要です。
健康保険から給付を受けた金額がある場合には、
病気や出産ごとに支払った医療費の額から給付金として補填された額を差し引かなければなりません。
各病気:支払った医療費-その病気に係る給付金額=控除対象となる医療費
各ケガ:支払った医療費-そのケガに係る給付金額=控除対象となる医療費
それぞれの病気やけがについて控除の対象となる医療費がマイナスとなった場合は0とし、
他の控除対象となる医療費と通算して減額する必要はありません。
各病気及び各ケガのそれぞれの合計が10万以上または所得の5%より多い金額となれば、
医療費控除として適用を受けることができます。
おわりに・・・
最後までお読みくださりありがとうございます。
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東京都新宿区西新宿の税理士法人阿部会計事務所、税理士の阿部でした。