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理士ブログ

黒字なのにお金がない?それ、キャッシュフローの“あるある”です。

投稿:2026.07.13  更新日:2026.04.29

はじめに

こんにちは、新宿区西新宿の税理士法人阿部会計事務所の税理士阿部です。

「今期は黒字のはずなのに、なぜか通帳が増えない」

「売上は伸びているのに、資金繰りがずっと苦しい」

この相談、税理士として本当によく受けます。

結論から言うと、原因はシンプルです。

利益とキャッシュは別物だから。

損益計算書(P/L)は“儲け”を示しますが、キャッシュフローは“お金の動き”を示します。

会社が倒れるのは赤字よりも、資金が尽きたときです。

だからこそ、経営者が一番強くなるのは「キャッシュの流れが読めるようになった時」。

この記事では、キャッシュフロー計算書の全体像から、①営業CF、②投資CF、③財務CFの読み方まで、

実務目線で分かりやすく解説します。


① キャッシュフロー計算書について

〜P/Lが“成績表”なら、キャッシュフローは“心電図”〜

キャッシュフロー計算書(C/F)は、一定期間に会社の現金・預金がどう増減したかを、

活動別に分けて示す書類です。

活動別とは、次の3つです。

  • 営業活動によるキャッシュフロー(本業で稼いだ・減った)
  • 投資活動によるキャッシュフロー(設備投資・資産売買で動いた)
  • 財務活動によるキャッシュフロー(借入・返済・増資など資金調達で動いた)

この3つを分けることで、
「本業が強いのか?」
「投資が重いのか?」
「借金で回っているのか?」
が一発で見えます。まさに“会社の心電図”です。

なぜC/Fが重要なのか

P/Lは、発生主義で作られます。つまり、

  • 売上は入金前でも計上される(売掛)
  • 経費は支払い前でも計上される(未払)
    この仕組みがあるため、P/Lは「儲け」を正しく示せる反面、キャッシュとはズレます。

キャッシュフロー計算書は、このズレを埋めて「実際にお金が増えたか」を見せてくれる書類です。

金融機関がC/Fを重視するのは、「返済は利益ではなくキャッシュから」だからです。

中小企業でも“簡易C/F”で十分使える

上場企業はC/Fを作成しますが、中小企業では作らないことも多いです。

ただ、経営にはC/Fの視点が必須です。おすすめは、月次で簡易C/Fを持つこと。

  • 営業で増減した現金
  • 投資で減った現金
  • 借入返済で増減した現金
    これだけでも、「今月なぜお金が減ったか」が説明できるようになります。

② 営業活動によるキャッシュフロー

〜“本業でお金が増える会社”が一番強い〜

営業CFは、本業の稼ぐ力を表します。

ここがプラスで安定している会社は、資金調達も強く、投資もでき、倒れにくい。

逆に、営業CFがマイナスの会社は、借入で延命しやすい状態になります。

営業CFは、ざっくりこう捉えます。

「税引前利益」+「減価償却」±「運転資金の増減」

1) 利益が出ていても営業CFがマイナスになる典型

ケースA:売掛金が増えている(回収が遅い)

売上が伸びると売掛金が増えます。
でも入金が追いつかなければ、キャッシュは増えません。
「売上増=資金繰り悪化」はここで起きます。

対策:

  • 回収サイト短縮
  • 請求の早期化
  • 前受金・内金の活用
  • 取引先別の回収状況の見える化

ケースB:在庫が増えている(仕入れ過多)

在庫は資産ですが、現金が在庫に変わったもの。

在庫が膨らむと営業CFは悪化します。

対策:

  • 在庫回転の管理
  • 滞留在庫の処分
  • 発注点・適正在庫の設計

ケースC:買掛金が減っている(支払いが早い)

支払いサイトが短くなるとキャッシュが減ります。

仕入先との条件交渉も、実は営業CF対策です。

2) 減価償却は“キャッシュが出ない費用”

P/Lでは費用ですが、キャッシュは出ません。

だから営業CFではプラス要素になります。

設備投資をしている会社が、利益が薄くてもキャッシュが残るケースがあるのはこのためです。

3) 営業CFを良くする“3つの王道”

  • 回収を早める(売掛)
  • 在庫を圧縮する
  • 支払い条件を整える(買掛)

営業CF改善は、派手な施策より運転資金の設計で決まります。

会社のキャッシュ体質を変える最短ルートです。


③ 投資活動によるキャッシュフロー

〜投資CFがマイナスでも悪いとは限らない〜

投資CFは、設備投資や資産売買によるキャッシュの増減を示します。

多くの場合、投資CFはマイナスになります。なぜなら、設備投資は現金が出ていくからです。

大切なのは、投資CFのマイナスが

  • 未来の利益を作る投資なのか
  • ムダな支出なのか
    を見極めることです。

1) 良い投資CFのマイナス

  • 省人化投資(人件費を下げる)
  • 生産性改善(時間短縮、歩留まり改善)
  • 収益を増やす設備(稼働率が上がる)

この投資は、将来の営業CFを強くする可能性があります。

投資CF単体で判断せず、「投資→営業CF増加」につながっているかを見るのが正解です。

2) 危ない投資CFのマイナス

  • 回収見込みが曖昧
  • 固定費を増やすだけ
  • 見栄え重視(売上に効かない)

投資が悪いのではなく、「投資の順番」が悪いケースが多いです。

金利上昇局面では特に、回収期間の短い投資から優先するのが安全です。

3) 資産の売却は投資CFプラス

遊休資産を売ると投資CFはプラスになります。

ただし、売ってプラスになったから良いとは限りません。

「売らないと回らない」という状態なら、構造改善が必要なサインでもあります。


④ 財務活動によるキャッシュフロー

〜借り方・返し方が上手い会社は、資金繰りがブレない〜

財務CFは、借入・返済・増資など、資金調達に関するキャッシュの動きです。

中小企業では最も分かりやすいのが次の2つ。

  • 借入によるキャッシュイン(プラス)
  • 返済によるキャッシュアウト(マイナス)

1) 財務CFがプラス:借入で資金を増やしている

事業拡大期や投資期には、財務CFがプラスになるのは自然です。

問題は、「営業CFが弱いのに財務CFで支えている」状態。

これは
借金で穴を埋め続けている
可能性があるからです。銀行もここを見ます。

2) 財務CFがマイナス:返済が進んでいる

返済が進むのは健全ですが、返済が重すぎると資金繰りを圧迫します。

返済の適正は、返済原資(利益+減価償却)とのバランスで見ます。

返済がきつい場合の打ち手は、

  • 返済期間の見直し(長期化)
  • 借換
  • 条件変更の相談
    など。“詰んでから”ではなく、早めが重要です。

3) 財務CFの良い形:営業CFで返済を回す

理想は、

  • 営業CFがプラス
  • 投資CFは必要な投資でマイナス
  • 財務CFは返済でほどよくマイナス
    という形です。

借りること自体は悪ではありません。

大事なのは、「借りたお金で何をして、営業CFをどう増やすか」。

ここが見えている会社は、銀行との付き合いも上手くいきます。


まとめ:キャッシュフローは“会社の呼吸”

キャッシュフローを見ることで、会社の状態がはっきりします。

  • 営業CF:本業で稼げているか
  • 投資CF:未来のために投資しているか
  • 財務CF:借り方・返し方が健全か

そして、「黒字なのにお金がない」の正体は、だいたい

  • 売掛金の増加
  • 在庫の増加
  • 返済負担の重さ
    のどれかです。

当事務所では、キャッシュフローの見える化、資金繰り表の作成、銀行向け説明資料の整備まで、

財務コンサルの視点でサポートしています。

「うちは何が原因でキャッシュが減っている?」を一緒に整理すると、

経営の打ち手が一気に明確になります。気になる方はお気軽にご相談ください。

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