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改正民法以降の不動産賃貸契約について

投稿:2020.04.06  更新日:2021.08.17

はじめに

東京都新宿区西新宿の税理士法人阿部会計事務所の税理士の阿部です。

今回は、令和2年4月1日以降から改正された民法のひとつである、

「不動産賃貸契約」について述べたいと思います。

改正民法の適用はいつから

改正民法の施行日(令和2年3月31日)より前に締結された契約については旧民法が適用されます。

令和2年4月1日以降に締結された契約については改正民法が適用されます。

また、施行後に契約の更新を行った場合には、改正民法が適用されます。

不動産賃貸契約とは

賃貸人が賃借人に目的物を使用収益させることを約束し、

賃借人がその収益の対価として賃料を支払うことを約束する契約です。

旧民法:不動産賃貸の契約終了時に、

賃借人が賃貸人に物件を返却する際の原状回復の範囲について、

明文化された規定がありませんでした。

返却の際にトラブルが発生した際には、

過去の類似した判例をもとに、

法的な解決がとられてきました。

今回の改正では過去の判例をもとに、

原状回復義務の範囲について、

「賃借人に原状回復義務があるとしたうえで、

日々の使用によって生じた損耗や、経年変化については、

賃借人の原状回復義務の範囲ではない」ということが明文化されました。

賃貸人は原則として敷金を返還する

賃貸契約時に、賃借人が賃貸人に支払った敷金について、

旧民法では、敷金についての明文化された規定はありませんでした。

改正民法では、敷金について、

「保証金などその名称に関わらず、賃借人が賃貸の不払いに備えた担保として賃貸人に支払う金銭」

と明確に規定されました。

そのため、物件を返還する際には、原則として、賃貸人は敷金を返還しなければなりません。
※以下の費用については敷金から差し引くことができます
・未払いの賃料 ・損害賠償金 ・原状回復費用 

建物の所有を目的としない土地について

改正民法において、

建物の所有を目的としない土地(例:駐車場、資材置き場、ゴルフ場等)については、

契約期間の存続期間が最長50年に延長されました。
※建物の所有を目的とする土地の賃貸借については、旧民法通り、上限はありません。

債務保証に関するルールについて

旧民法においては、

賃借人の落ち度で生じた事柄(例:家屋の全焼等)は、

保証人(個人)に多額の損害賠償請求がされてしまうことがありました。

改正民法では、

個人の根保証契約(一度の契約でその後に発生する債務にまでも保証責任を負う制度のこと)では、

極度額(保証人が負う支払い責任の上限額)の定めのないものは無効とされます。

つまり、賃貸借契約で保証人を求める際には、書面上で「極度額」を明文化する必要性があります。

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